内分泌内科とは
ホルモンの過剰分泌・不足・作用不足によって生じる内分泌疾患に対応した診療科です。ホルモンを分泌する主な臓器には、脳下垂体・脳視床下部・甲状腺・副甲状腺・副腎・膵臓・卵巣・精巣・心臓・肝臓・腎臓などがあり、分泌されるホルモンは微量でも身体が正常な機能を保つために重要な役割を果たしていて、それぞれのホルモンのバランスが崩れると、さまざまな症状を起こします。
内分泌疾患には、甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病など)、副腎疾患(原発性アルドステロン症・副腎腫瘍・慢性副腎疲労など)、下垂体疾患(下垂体腫瘍・下垂体機能低下症など)があります。糖尿病もインスリンというホルモンの不具合で生じる内分泌疾患で、高血圧や脂質異常症、肥満なども内分泌異常によって生じている場合があります。
一般的な健康診断では検査項目に入っていないため、見逃されているケースが少なくありません。また、特徴のある症状が少なく、単なる体調不良と誤解されてつらい症状に長く悩まされていることもよくあります。専門知識のある医師による血液検査や問診などで簡単に発見できる内分泌疾患も多いので、気になる症状がある場合にはお気軽にご相談ください。
内分泌内科の主な対象疾患
- 甲状腺疾患(機能の亢進・低下によるバセドウ病・橋本病など)
- 副腎疾患
- 下垂体疾患
- 副甲状腺疾患
- 性腺疾患
- 高血圧症
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肥満症
- 高尿酸血症
など
内分泌内科で診療する主な疾患
甲状腺疾患
のどぼとけは甲状腺軟骨先端と呼ばれていて、甲状腺はのどぼとけのすぐ下にあります。気管を取り囲むような位置にあって、羽を広げた蝶のような形状をしています。重さは10~20g程度とかなり小さい臓器です。
甲状腺が分泌する甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝に関わっていて、生命の維持に不可欠なホルモンですから、分泌の過剰や不足によってさまざまな症状を起こします。
甲状腺疾患は女性の発症が多い傾向があり、女性特有の病気と誤解されることがありますが、男性の発症もあります。男性は特に見逃されやすいため、疑わしい症状がある場合は早めにご相談ください。
副腎疾患
副腎は腎臓の上にある小さな臓器で、左右両方にあります。内側の髄質を取り囲むように皮質がおおっていて、皮質からは副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)、髄質からは副腎髄質ホルモン(アドレナリンなど)が分泌されています。副腎からは全ての生体機能に関わる重要なホルモンが分泌されているため、ほんの少しの過剰・不足が起こっただけでもさまざまな症状や疾患につながる可能性があります。
下垂体疾患
下垂体は甲状腺や副腎皮質、性腺をはじめとした数多くの内分泌臓器に指令を送っているため、障害があると全身に大きな影響を及ぼします。下垂体は、前葉部と後葉部に分けられ、前葉部は主に6種類のホルモンを分泌し、後葉部は2種類のホルモンを分泌しています。下垂体疾患は総称であり、下垂体の腫瘍や炎症、欠損などによって生じるホルモンの分泌異常による疾患は多岐に渡ります。
副甲状腺疾患
甲状腺の裏側の四隅には、小さな副甲状腺という組織があります。副甲状腺は骨の代謝に関わるPTHというホルモンを分泌していて、骨・カルシウム・リンの代謝を行っています。このホルモンによって血液中のカルシウム濃度が一定に保たれ、骨を壊す破骨細胞や骨を作る骨芽細胞を刺激して骨のリモデリングが正常に保たれています。